お前は、俺のもの。

今夜、私は自宅に帰ることになっている。鬼課長が夕食を振舞ってくれると言って、私は少しでも一緒にいることが、単純に嬉しかった。彼は何か考えているようで口数が少なかった。



「凪、千切りキャベツをお皿に盛りつけて」

鬼課長が豚肉を香ばしく焼いている横で、私は千切りキャベツをお皿に盛る。豚の生姜焼きは私の好物の一つだ。その他に豆腐の味噌汁にナスの煮浸しを作っている。
ご飯も炊けたメロディ音を聞くと、お腹の空腹音も鳴りそうだ。

テーブルに並んだごちそうに「一ノ瀬課長、お腹ペコペコです」とお預けだ。
「凪、プライベートのときは?」
と、鬼課長は椅子に座る私の後頭部に手を添えて、唇を重ねてきた。
「…ん」
突然降ってくるキスも、今では自然に受け入れてしまう私は、完全に彼に依存しているかもしれない。

「な…梛」
自分も同じ名前なのに、彼に向かって呼ぶのは何故か照れくさい。

漢字が違う同じ名前は、嬉しくて恥ずかしい。
鬼課長は私と同じ名前なのに、何か思うことはないのだろうか。
これは私の中にある、小さな疑問の一つだ。

「ピリッとした、生姜の風味がたまらないっ」
すっかり夕食にご満悦な私。
ニコニコとご機嫌にご飯を食べていく私に、鬼課長も逆三角形の目を細めた。
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