お前は、俺のもの。


「なぁ、凪」

お腹いっぱいの私は食後のアイスクリームを食べていると、冷たい麦茶を片手に鬼課長が口を開く。

「しばらく、ここに泊まらないか」

──しばらく、泊まる?

鬼課長と一緒にいられるのは嬉しいが、明日から仕事がある。私は首を傾げる。
彼は水族館の帰り道から、いろいろ考えていたらしい。

「用心に越したことはない。しばらく一緒に過ごして何もなければ階段から落ちそうになったのは無差別の嫌がらせ、または本当に偶然何かに引っ掛かったと思うことができる。しかし再び凪に危険が及んだら、故意に凪を狙っているとして、警察に相談することになるだろう。その時に目撃者が発見されたら、明らかに傷害事件となる」

彼の話に大袈裟になっていくことに、動揺してしまう私。
「いえっ。警察に相談するまでは…。それに私の勘違いで誰かにぶつかって、勝手に落ちそうになったかもしれないですし。いち…梛のところに泊まることだって、私が負担になって迷惑かけるのも申し訳ないので」

「私は大丈夫です」と付け足して、やんわりと遠慮したつもりだった。
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