お前は、俺のもの。
そして仕事が始まってから、鬼課長宅に寝泊まりすること一週間。
日常においては小堺るみの冷たい視線に耐え、鬼課長の過保護な部分を除けば、平穏に暮らしている。
予測していたことだが、小堺るみは本当に異動願いを出したことで、営業企画課でちょっとした問題になっており、
「小堺がいなくなったら誰が事務をやるのだ?」
と、不安な空気が流れた日が二、三日続いた。
彼女は以前は企画部にいた社員だったので、異動となれば戻るかもしれない、と思われていた。
これは鬼課長に教えてもらった、公にしていないことだ。小堺るみの異動願いに関して、企画部からの回答が、「部署内の人員は足りているので受け入れはしない」というものだった。
しかし昨日の昼休みの社食で、綾乃が企画部の女の子と話しているのを聞いたのだ。
『人手不足で新しい企画案のデータ収集が追いつかず時間が足りない』と。
鬼課長は苦笑する。
「要するに、小堺は遠回しに企画部の戦力外通告をされたようなものだ」
小堺るみの異動は受け入れ先が決まるまで保留となり、今まで通り営業企画課で働くことになった。
笹島主任以下メンバーは一同ホッと胸を撫で下ろし、小堺るみ本人は保留を言い渡されてから不機嫌な状態が続いている。だからといって、仕事を蔑ろにしないところは、真面目な一面があるのかと思った。