お前は、俺のもの。
椅子に座っているのに、膝の震えが止まらない。自分の手を見つめると、その手が驚くほど白いと思った。
「上層部は今回の社内での男女のトラブルを重く受け止め、一部では彼らに見せしめとばかりに重い処分を下して社内恋愛禁止にしようと声もあった。でも、梛くんが…」
『これからの次世代を担う社員たちに、人間としての自由を奪う権限は俺達にはない』
そう言って、社内規定改正は一旦見送ることになったらしい。
斉木課長の話が終わる頃には、自分の体が重力で潰れそうな息苦しさを感じた。
「結果、市村係長は業務妨害の補助、川添さんは業務妨害の実行者、及び社外とはいえ同僚に危害を加えた処分をそれぞれ受け入れてもらったよ」
鬼課長は、本当に彼らに鉄槌を下して鬼と化してしまった。
「これが査問委員会での概要だよ。お互いの間でもっと細かなやり取りがあったから長い時間がかかったけど」
と、斉木課長は息をついた。