お前は、俺のもの。

鬼は目が笑っていない、穏やかな顔で婚約者という女性を見る。
「あなたはいつも私を外へ連れ出そうとしますが、何故いつも外出したがるのですか。私はあなたの手料理を楽しみにしたいのですが」
と、何か探るような質問をする。
千堂紗羅はキョトンとすると、すぐにクスクスと笑いだした。

「そんなの、決まってるでしょ。「この人は私の婚約者だ」ということを周りに知ってもらいたいからよ。カッコよくて素敵な婚約者だから、いつだって連れて歩きたいじゃない。私につり合わない、お金があってもブサイクな男なんて婚約どころか一緒に歩きたいとも思わないわ」

と、当然とばかりに言い放った。

彼女の話をじっと聞いていた鬼課長は「そうですか」と言うと立ち上がった。

千堂紗羅が「そういえば」と、鬼を引き止めた。
「お父様から聞いたのよ。あなたが担当したカフェのレセプションパーティーのこと。パートナー同伴OKなんですってね。ご一緒できるのを楽しみにしてますわ」
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