お前は、俺のもの。

その直後、ひんやりと冷たい空気に包まれていると気づく私。足元は床が氷じゃないかと思うくらい、寒く感じる。
私の前に立つ鬼課長は、「またご連絡しますよ」と、彼女をやんわりと外へ続く自動ドアへと促す。
「では、また」
と、まだ何か言いたそうにしている千堂紗羅を横目に鬼はそう言い残した。そして私に「行くぞ」と視線を寄越す。
私は千堂紗羅に頭を下げて、鬼課長のところへ急いだ。


ショールーム三階、鬼課長は水回りの設備機器を確認に来たようだ。
リフォームを考えているのだろうか、販売部のスタッフに連れてこられたお客様があちらこちらで真剣に商品を見入っている。
鬼課長が販売部の社員に声をかけて、ユニットバスの商品を見ながら、話を始めた。
ユニットバスのエリアの向こうにはトイレの商品があり、その向こうにはシステムキッチンが見えた。

とにかく、広い。

鬼課長の話が長そうだと思い、何気なく振り返ってみた。

彩り鮮やかな、素敵なカーテンがズラリと並んだエリアへ足を踏み込んだ。その中で、真っ白な肌触りの良い、レースのカーテンに目を奪われた。

朝の日差しと同時に、そよ風に揺れてキラキラと光るカーテン…。

そんなことを頭で思い浮かばせていると、横でバサバサと何かが落ちる音がした。
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