お前は、俺のもの。
女性用ロッカールームのドアを開けて入る。鞄から四つ葉のクローバーのキーホルダーのついた鍵を取り出そうとしていると、
「ねぇ、あのロッカーって満島さんよね?」
と、声を掛けられて離れたところにある並んだロッカーを指した。
彼女は総務部主任の女性だ。私は自分のロッカーに近づいた。
並んだロッカーの一つに、ここからでもわかるくらいのマジックで大きく書かれた文字が。
“ 男好き。男を横取りした女。最低。”
「……」
明らかに、私のロッカーの扉に書かれたものだった。
既に就業時刻から一時間近くが過ぎていて、ここには彼女と私だけがいた。
着替えを終えた彼女が、「大丈夫?消すなら手伝おうか?」と心配そうに言ってくれる。
何も知らない彼女に迷惑はかけられない。できるだけ明るく笑って、
「一人でも消せると思うので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
と、気持ちだけ頂いた。
そして洗面台横の掃除道具入れから、雑巾を取り出した。