お前は、俺のもの。
…視線を感じる。
チラリと横を見ると、昨日の小堺るみが喋り散らかした余韻があった。チクチクと針を刺すような視線の痛みが続いている。
「昨日、小堺が「一緒に食事をする相手を満島さんに横取りされた」と話していたのに、よく昨日の今日でここで食事ができますね」
見上げると、トレイにカレーライスを乗せた河野くんが立っていた。その瞳はとても冷ややかだ。
すると、向かいの綾乃がクスリと笑った。
「物事の上辺だけで判断して中身も知ろうとしないなんて、営業マンとしてのその見方はどうかと思うけど、河野くん?」
と、彼女は見積書の計算間違いなどのミスも知っているだけに、少し強気に話した。
河野くんは綾乃を見て一瞬グッと言葉を詰まらせたが、すぐに開き直る。
「俺は夏川さんには何も言いませんよ。まだ他の部署に飛ばされたくないので」
と言って離れていった。
河野くんの言葉の意味がわからず、私は綾乃に「どういうこと?」と聞いた。綾乃はご飯を小さくパクッと食べると、目を逸らした。