お前は、俺のもの。

「まぁ、多分…私の後ろが気になるんでしょうね…」
「後ろ?後ろって…え?」

──綾乃の後ろにいる、他部署へ飛ばすことができるくらい、権力のある人?

綾乃をじっと見つめると、彼女の頬がポッと赤くなる。
「え…ま、まさか。かせ…」
「凪さんっ、今は黙っててください!」
綾乃は焦りながら、私の声を被せるくらいの声を上げた。

「あ、後でちゃんと話しますから、今は食べましょう」

綾乃が言うには、元カレと別れた二ヶ月ほど前に加瀬部長からの猛アプローチを受けていたらしい。最初は元カレと別れたばかりで次に踏み切れないという理由をつけて断っていたが、自分を大切にしてくれる加瀬部長に惹かれていったそうだ。
正式に付き合いだしたのは、10日程前からだという。

「あの人バツイチだから、私との付き合いも慎重なの。だから、そっと見守ってくれると嬉しい」
という、綾乃の願いもある。
しかし、加瀬部長が綾乃を慎重を通り越して溺愛しているようで、仕事中に送られてくる熱い視線で周りが二人の関係に気づいてしまったようだ。

…私は、自分のことに精一杯で、綾乃のことを気づいてやれなかったことに凹んでしまう。

「私は自分で自分の幸せを決めました。凪さんも自分の幸せを見つけて欲しいです」

彼女の言葉が胸に染みて、とても嬉しかったのだ。
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