お前は、俺のもの。


「ちょっと、凪。今日は休みだからって家の中でゴロゴロしないでちょうだいっ!」
「ええー、いてっ」

何かで頭を軽く叩かれて、見上げると母が上から回覧板を片手に渋い顔をして私を睨んでいる。
私は膝に丸く穴のあいたジャージに首回りがヨレヨレのTシャツで、寝転がってテレビのお笑い番組を見るという、至福の時間を過ごしていた。

「この回覧板をお隣さんに持って行って。それから明日、上条の叔母さんが遊びに来るのよ。悪いけど、FUFUのマドレーヌを買ってきて欲しいのよ」

突然言い渡された買い物に「えええ」と面倒くさい声を出す。
「だってFUFUって、電車乗らなきゃいけないでしょ?お隣さんに回覧板くらいならこの格好でも平気だけど、電車乗るなら着替えなきゃ」
「歩いて二十歩のお隣さんでも、その格好はどうかと思うけどね。マドレーヌの代金は立て替えておいて。レシートは忘れないでよ」
と、母は忙しそうにキッチンへ行ってしまう。

休みの日くらい、何も考えずに家でゴロゴロしたいのに。重い体を起こし、しばらくテレビの笑い声を聞いていたが、諦めてリモコンに手を伸ばした。
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