お前は、俺のもの。
「この前から言われていたんだけど、対応が遅くなってごめんね。これ、新しいロッカーの鍵ね」
「新しいロッカー…?」
ロッカーのことで総務に問い合わせをした覚えのない私は、首を傾げた。
石川係長は穏やかに話を続けた。
「この前、小谷主任から少し聞いたんだけどね。その後、一ノ瀬課長から内密に君の新しいロッカーを用意するように言われたんだよ。ロッカーは個人に貸し与えているものだけど、何か問題が起こると管理している総務部としては黙っているわけにはいかなくてね」
ああ。ロッカーの落書きのことか。小谷主任は、あの時の落書きを教えてくれた人だ。
確かにロッカーは会社のものだから、問題があれば総務部が出てくるのは当然だろう。
できるだけ綺麗に消したつもりだが、書いた跡はうっすらと残っている。
「申し訳ありません。インクは消えたのですが、跡が残ってしまいました。ロッカーを買い換えるなら代金を払いますので…」
と言ったところで、石川係長は「あはは」と笑い始めた。