結婚するには乗り越えなくてはいけない壁があるようです
拝啓

松島杏様



先日は至らないところも多く、十分にお話させていただけなかったこと、申し訳なく思っております。

そして家庭の事情で不安にさせてしまったことも。

重ねてお詫び申し上げます。


ここからは堅苦しいものではなく、娘になる杏さんに向けて、書かせていただきますね。

杏さん。

尚に幸せを与えてくれて、ありがとう。

正直なところ、尚には別の方との縁談を考えていましたので、杏さんを紹介された時は驚きました。

尚は年齢的な問題なのか、忙しいからなのか、最近では実家にもあまり寄り付かず、自分のことを話してくれなかったので、てっきり私たちが想像していた女性だと思っていたのです。

本当にごめんなさいね。

尚にはあのあと、すぐ怒られました。

そして久しぶりに親子でたくさん話しました。

内容は尚から聞いているかしら?

相続のこと、が主だったのですが、杏さんのこともたくさん聞かせてくれました。

聞いているこっちが恥ずかしくなるほどに。

おかげで、愛のない結婚をさせて子供を不幸にするわけにはいかない、息子が生涯掛けて愛し抜くと決めた女性を私たちも愛していきたいと強く思うようになりました。

諸々の事情で待たせてしまったけど、待っていてくれてありがとう。

これからは、本当の親と娘として仲良くしていきましょう。

改めてお会いできる日を楽しみにしています。



嶋津恭子


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