Sync.〜会社の同期に愛されすぎています〜
「嘘つくなよ・・・幸せなわけないだろ・・・心春のそんな悲しそうな顔見たことないよ・・・」
抱きしめる力が強くなる。
「だって・・・もうあの時には戻れない・・・」
「俺、待つから・・・また二人でやり直せる時を・・・」
「え・・・・」
「嘘じゃない・・・本気だから・・・」
「だめだよ・・・・」
蓮は私の唇を奪う。
「やめて・・・・」
私は、蓮を突き飛ばす。
「好きだ・・・」
スヤスヤと眠っていた息子が目を覚まし、泣き出した。
「ごめん、帰って授乳しなきゃ・・・・蓮に一つだけ言っておきたいことがある。
この子のお父さんは蓮かもしれない・・・・まだ、検査とかしてないから分からないけれど・・・」
「え・・・?」
「多分、最後に蓮とシタ時に出来た。旦那ともしてるから疑ってはいないからこれからも隠すつもり・・・だからさ、ここで蓮が出てくるとややこしくなるの・・・」
そう言い捨てて部屋を後にした。
このことは別に言うつもりはなかった。言う必要もなかったはずだった。
それでも私は蓮の心を繋ぎ止めておきたかったのだ。
自分は、他の男と結婚して周りから見れば「幸せな家庭」を持っていて、何一つ不自由もない。
子育てにはいっぱいいっぱいだけれども・・・
蓮のことを裏切っているはずなのに、蓮が他の女と結婚して子供ができて、蓮が育児に協力するいい夫と幸せに暮らす女のことを考えただけで吐き気がする。
結局のところ、蓮のため、親のためだと言い聞かせながらも未練はタラタラなのだ。
どうしてこんな時に目の前に現れるの?
どうして何もかもが上手くいかないの?
どうしてこんなに好きなの?
「待てよ・・・」
追いかける蓮が私を後ろから抱きしめる。
「こんな風に思うのはいけないことかもしれないけれど、嬉しい・・・産んでくれてありがとう・・・」
私の頬に涙が伝う。
その日からだった。私たちは超えてはいけない線を超えた。
でも、もう後戻りなんてできなかった。
少しだけが1時間・・・1時間が3時間・・・・3時間が半日・・・
その抑えられない気持ちがズルズルと・・・
「もう、私の体は蓮が知っている体じゃない。妊娠中についたお腹の肉は戻らないし、髪もボサボサで美容院も行ってないし、白髪も見つけたし、化粧もしてないし・・・・」
「あとは?」
蓮は私のマイナスな言葉ばかりを優しく受け止めた。
「大丈夫、俺が元に戻してやるよ・・・」
最後にしたセックスは、息子の妊娠発覚の前後だった。
体は、忘れてしまっている。
あんな風に男の体を求めていた自分が今日に至るまで別人のようだった。
制欲など皆無で、キスどころか触れられるのも嫌だった。
それなのに、どうしてだろう。
蓮が、触れる度にあの頃の記憶や感覚が一気に戻っていく。
この肌もキスの仕方も変わらない。
(母親じゃない・・・私は女だ・・・)
少しの物音で起きてしまう息子は今日は別人のようにスヤスヤと眠っている。
眠る我が子を横目に、旦那と眠るベッドで元彼と体を重ねる私は最低な母親だ。
でも、この子が蓮の子なら・・・
(やめなくちゃ・・・いけないことなのに・・・)
そう思いながらも、お互いに止まることはできない。
溺れて・・・溺れて・・・もう呼吸ができない・・・
(蓮が好き・・・愛してる・・・)