Bloody wolf
ドアを開けたら嬉しそうな顔を晴成に迎えられる。

「早かったな」

声もどこか浮わついてた。

何がそんなに嬉しいんだか。


「別に」

晴成にチラリと目を向けてから、ドアの鍵を閉め歩き出す。


「あ、待てって」

慌てて追いかけてくる晴成に、

「静かにしてよ。近所迷惑」

と一喝する。


「おぉ、悪りぃ」

「謝ってばっかりね」

クスッと笑ってフードを更に深く被った。


晴成は、どうしてこんな私に構うのだろうね。

さしても面白くないだろうに。


嬉しそうな顔で隣を歩いてる晴成をチラリと見た。

かっこいいのに残念なイケメンだとつくづく思う。




「総長車で来ると目立つから、俺のバイクで来た」

マンション前に停めてあったバイクのタンデムをポンポンと叩く晴成。

「これでも十分目立つけどね」

女の子を乗せてたって噂になってるの知らないの?


「そうか?」

「・・・・・」

そうかじゃ無いわよ。


「これ、ヘルメットな」

晴成がビッグスクーターのメットインから、取り出したヘルメットはこの間の物とはちょっと違った。

真っ黒いヘルメットの左側にウルフの旗印と同じ一匹の狼が描かれていて。


「前のと違うのね」

「ああ。響の為に新しく作らせた」

「はぁ? 勿体ない」

だいたい、私はウルフのメンバーでもないのにこんなヘルメット要らないんだけど。

すっごく嫌な予感がするよ。


「前のはずっと前に他の女が使ってたからな」

さらりとそんなことを言う晴成に、胸の奥がざわりとした。

こんなの気のせいだ。


「そう」

いつも通りの返事をしてヘルメットを受けとるとそれを頭から被った。


「よし、行くか」

私がヘルメットを被ったのを見て、嬉しそうに口元を緩めるとバイクに跨がった晴成。

そんな彼の後ろに私は飛び乗った。
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