Bloody wolf

実力の証明

「明日、体育祭だろ?」

ウルフの幹部室、隣に座る晴成が聞いてくる。


「ん」

豪が差し入れてくれたシュークリームを食べながら頷いた。


「響さんの学校の体育祭は一般も見学可能ですよね」

「招待状さえあれば入れると思う」

秋道がどうしてそんな事を聞くのかと思いながらそう返す。


「じゃあ、明日見に行く」

「はぁ?」

晴成の言葉に目を向いた。

見に来るってなんだ。


「響の応援にな」

「いやいや、応援はいらない」

だいたい、本当は参加したくなかったんだし。

私が嫌だとごねにごねて、綱引きのみ参加することで手打になった経緯がある。

千里が後ろの方は綱を握ってさえいれば、必死に力を入れなくても問題ないって教えてくれたから。

上手くサボれそうな種目が見つかってよかったよ。


「学校内でちらほらと響とウルフの噂が流れてるらしいからな。この辺りで俺達との関係をはっきりさせといた方がいいだろ」

「・・・・・」

確かに晴成の言うとこも一理あるんだよね。


最近、学校で悪意の籠った視線を感じるし。

今はまだ何もないけど、千里にまで迷惑かかるのは困る。


「響さんを俺達が大切にしてることを知れば、そうそう手出しできませんからね」

「・・・ん、そんなもの?」

「ええ。表立ってウルフに喧嘩を売るような人間はいませんよ」

悪い顔して秋道が言う。


「表立ってしなくても、裏で姑息なことをする奴はいるってことだよね」

それはそれで面倒だなぁ。


「それは、戸田と中平が表立って警護をすることで抑えることが出来ると思います」

「そんなもの?」

「ええ、そんなものです」

自信たっぷりに頷いた秋道。


まぁ、直接何かをしてくる連中は、私自身でお仕置きすればいいかな。


「でも、晴成達が来たら大騒ぎになりそうなんだけど」

迷惑そうに眉を寄せて晴成を見る。


「んな嫌そうな顔すんなって」

苦笑いを浮かべる晴成に、

「だって、女の子達がキャーキャー煩そうじゃん」

真顔で言う。


「西南の女の子とお近づきになれるじゃん、イエーイ」

ダブルピースした瑠偉は一先ず放置することにした。

西南高校、それが私の通う進学校の名前。

この街じゃ、ちょっとしたブランド扱いされてるらしい。
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