Bloody wolf
ー晴成sideー

響に女を部屋に連れ込んでた事を勘づかれた。

あいつ、勘が良すぎるんだって。


まぁ、俺に関しては色んな噂が流れてるから、遅かれ早かれ知られる事にはなっただろうけど。

それでも、ショックが立ち直れねぇ。


自分がしでかした事のしっぺ返しなのは、理解できても、響に言われるのはやっぱりかなり堪えた。

過去に戻れるんなら、来る者拒まず去る者追わずに遊んでたバカな俺に言ってやりてぇ。

後で後悔するって事を。


本当やりきれねぇ。

自分のバカさ加減に、溜め息しかでねぇ。


俯いたまま後悔と言う2文字を噛み締める。

まだ救いなのは、バカな事をしてた俺を知っても響が嫌悪しなかった事。


今まで女遊びした来た事を、こんな風に後悔した事なんて無かった。

どんな女と寝ても、何も感じなかったし何も思わなかった。


溜まった欲を吐き出すだけの行為で、それが当たり前だと思ってきた。

でも、響を前にしたら後悔しか沸いてこねぇ。


清廉潔白な男になんてなろうと思ったことは一度もなかった。

物心ついた頃から周囲がそう言う環境だったし、女なんて色目を使っていくらでもすり寄ってきた。

それを性欲処理に使うことに罪悪感なんて全く無かったんだ。


それなのに・・・なんだよ、この罪悪感。

響に対してだけ沸き起こってくる、この気持ち。


「・・・はぁ、マジでねぇわ」

大きな溜め息と一緒に漏れた呟き。


「晴成、そろそろ現実世界に戻ってはどうですか?」

秋道の声をゆっくりと顔を上げれば、瑠偉と光希が心配そうな顔で俺を見てた。

その場所に、響と豪の姿はねぇ。


「響は?」

と聞けば、

「はぁ・・・帰りましたよ」

そう言われて、目を見張る。

い、いつの間に・・・。


「晴成が自己嫌悪に陥ってる間にですよ」

秋道は俺の思考を読み取れるらしい。


「・・・今になって秋道が言ってた言葉が見に染みる」

昔から秋道は、来る者拒ますで遊ぶのは止めろと言っていた。

本命が出来た時に、きっと後悔するとも。

それが今はよく分かる。


「・・・過去は変えられません。これから響さんに対して誠実でいることを心掛けるしかありませんね」

「ああ」

秋道の正論が胸に染み込む。

これからの俺は、誠実でいる。


響を・・・あいつをぜってぇ惚れさせてやる。

そして、この先の未来を手に入れる。
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