いつか、きっと。
やばっ!!

慌てて唇を離し、友也の顔を見た。

まだ目は開いていない。

だけど穏やかだった表情が苦し気に歪んだのを見ると、咄嗟にこの場を離れなければいけないような気がした。

立ち上がって友也から視線を逸らした直後、私の手首が不意に掴まれ……。

「明日美……明日美、明日美行くなっ」

グイッと腕を引かれ友也のベッドに倒れこむ。

酷く焦ったような声で名前を呼び続ける友也の様子に戸惑いながら、安心させようと私も声をかける。

「私ここにいるよ。大丈夫、友也のそばにいるから」

「明日美、明日美っ……」

私の声は届いていないのかもしれない。

ぎゅーっと力強く抱き締められながら、私も友也からこうされたかったんだと思った。

淫らな女だと思われたくないなんて、きっと嘘だ。

あんな風に何度もキスをやめられなかったのは、友也に気付いてほしかったから。

私たちはお互いの気持ちを告げることがないから、探り探りの状態だ。

言葉にはしないけど、キスに込めた『好き』の想いに気付いてほしかった。

私の想いに応えるかのように、今度は友也から私の唇に触れてくれた。

さっきは咄嗟に離れてしまったから感触を確かめるように舌先で私の唇を何度もなぞる。

焦らしているの?もっと深く交わりたくて、自ら口を開いてしまう私。

友也の舌が私の願いを受け入れるように私の中に侵入してきた。

熱くうごめく舌が口内を縦横無尽に犯していく。

私もされるがままなだけじゃなく、必死で友也に想いをぶつけるように貪りついた。

絡み合う舌と舌。

この濃密な交わりが延々と続くことを願ったけど、そうはならなかった。

離れていった友也の口からはハァハァと荒い息がこぼれ、いつになく余裕が感じられない。

「あす……どこに……もう、俺……」

さっきから友也が私に何かを伝えようとしているのは分かるけど、言葉がはっきり聞き取れなくて、その想いを汲み取ることができない。

「俺は、おま……。ずっとこの……これ………はなれ…………くれ」

友也の言わんとしてることを考えるのに集中してたけど、その友也がまた私の心をかき乱していく。

< 148 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop