いつか、きっと。
いきなり本題に入ろうとした未来の話を邪魔したわけじゃない。

でもちょっとまだ心の準備が整ってなかったのも否定はできない。

未来を待っている間、何やってたのよ私……。

「私はブレンドコーヒーでいいよ。食事は済ませてきたから」

「じゃあ私も未来と同じで」

ボタンを押して店員さんを呼び、注文を伝える。

ドリンクバーを勧められたけど、今日は長々とお喋りするのが目的じゃないから断った。

コーヒーが来るまでの数分間、黙ったままでいるのもどうかと思ったけど……。

とても雑談できる雰囲気ではなかった。

未来はもう私の事を親友だとは思っていないのかな。

二人の目の前にコーヒーが置かれ、店員が去るのを待ち構えていたように未来が口を開いた。

「一週間前のあの日のことだけど。明日美と瀬名くん勝手に先に帰ったよね。私たちに断りもなく……」

「そ、それは……。ごめんなさい」

確かにその通り。

その事に関しては私に非があるんだし、謝るしかない。

「瀬名くんは悪くないよ。あの時突然のどしゃ降りに遭ってずぶ濡れになったけん、瀬名くんの車に乗せてもらったと。瀬名くんが先に帰るって未来たちに言いに行こうとしたとけど、私が止めた。瀬名くんには後で電話するけんって嘘ついて……。ごめん」

「そっか最初から電話するつもりなんてなかったんだ。だから私が電話しても出ないし、電源まで切ってたよね」

電源は切ったわけじゃない。

でも放置してたのは事実。

それに関しては何も言い返せない。

「電話には出たくなかったの。だってあんな場面を見てしまって、何を話すっていうの?あの時、目が合ったよね。私が見てたの、未来も気付いたでしょ。どうして……あんな……」

「もちろん、気付いてたよ。だって明日美たちが戻ってくるのミラーで見てたから。だから明日美に見せるためにわざと抱きついたの」

やっぱり、わざとだったんだ!!

私に見せつけるために。



「私、御子柴くんと付き合うことにしたから」

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