いつか、きっと。
どうして?

ただ電話に出ないっていうのと、出る前に切られたっていうのは、同じ出ないにしても意味が全く違う。

呼び出し音を切るだけじゃなく、電源まで切ってしまうというその行為。

そこに友也の意志が表れているという気がしてならなかった。

会わない間に距離ができてしまったとは感じていたけど……。

心の距離がこんなにも遠くなってしまっているなんて、考えられなかった。

友也から、拒否されたんだな。

その現実を受け止めきれない私の頭の中は、友也といるのが当たり前だった頃の思い出の数々が駆け巡っていた。

ドライブしたり。

一緒に映画を観たり。

ハウステンボスに行ったり。

おくんちに行ったり。

今いるこの部屋で抱き締められたり、キスをしたり……。

いつも一緒だった。

"フリ"だったけど"偽者"だったけど、友也は私をちゃんと"彼女"として扱ってくれてた。

もう、あの頃には戻れないんだね。

心は疲れているはずなのに、結局朝まで眠れなかった。



翌朝。

長すぎる夜を眠れぬままやり過ごし、出立の日を迎えた。

少しでも眠れたなら、昨夜の信じられない出来事も夢だったと思えたかも知れないのに。

ダメダメ、もう逃げないんでしょ。

現実と向き合わなければ。

今日はこれから未来と会う約束をしている。

相談したいとか言っていたけど、聞かされる話の内容はだいたい想像できているから、未来の目の前で狼狽えたり取り乱したすることもない……つもりだけど。

「今日は結婚式に行かんばけん駅まで送られんけどごめんな。向こうに着いたら連絡せろよ。くれぐれも気ぃつけて行ってこい、明日美」

大村での結婚式だから、午前中に出発しないと間に合わないらしく、お母さんもバタバタと準備している。

お父さんはすっかり支度を終えたようで、しばしの別れを惜しんでいた。

「うん、ありがとうお父さん。行ってきます」

「さて、準備できた。お父さん行きましょうか?あ、明日美、元気でね!」

「あ、うん。行ってきます……」

お母さんとの別れはあっさりしたものだった。

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