いつか、きっと。
ひょっとしたら友也と私に関することで、まだ私が知らない事実が他にもあるのかも知れない。

それにしても解せないのは、瀬名くんが村井さんに友也との仲介を頼んだということ。



「なんで瀬名くん、そがん回りくどいやり方で……。友也と会いたかったら私に頼むとが手っ取り早かとに」



「俺だってそう思うたけど。多分明日美には言いとうなかったとじゃ?田代先輩との昔の因縁とか。男同士のことは女には分からんこともあるけんな」



男同士、友也と瀬名くんには私には理解できない絆があるということなんだろうか。

なんだか羨ましいような複雑な気持ちになった。

妬いてるのかな、私。

なんて友也と瀬名くんの関係に思いを馳せていた私に、今度は友也から疑問をぶつけられた。



「さっきのあの指輪は?」



瀬名くん絡みで思い出してしまったんだ。

さも私が瀬名くんから指輪を買ってもらったかのように振る舞ってしまった。

友也に『瀬名くんと付き合う』なんて嘘をついて。

その嘘があまりにも白々しすぎて、少しでも説得力を持たせるためにやった嘘の上塗り。



次は私が友也に説明する番。

あんな嘘で振り回してごめんね友也。



「あれは、瀬名くんが唯子さんのために買ったプレゼント。私が預かっていく予定やったけど、やっぱり自分で渡すって。そうよね、私もそれが良かと思うた。瀬名くんきっと唯子さんにプロポーズするつもりやろうし!」



友也だって唯子さんのことは瀬名くんから聞いて知っているはず。

だから納得してくれるよね。

あ、でも今は『プロポーズ』ってNGワードだったかな。

友也に変に意識させてしまったらマズイ? 

私の方がソワソワしてきて友也の顔色を窺うと、何か腑に落ちないような表情で首を傾げた。



「唯子さんって、どこに()るとやったっけ……」



どこって……福岡だけど。

なんでそんなことを…………。



「あっ!でっでも瀬名くんが自分で渡すことにしたみたいやし、私の出番はなかったばいね。プロポーズするための大事なプレゼント、直接渡さんばいけんよね!そうそう」



ヤバい!

私が福岡に戻ることを友也に伝えていないんだった。

今がそれを打ち明ける絶好のチャンスだったかも知れないのに、咄嗟に有耶無耶にしてしまった。



まだ期は熟していない。

だって私の福岡出張がまだ続いてると知ったら友也は……。



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