課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 


 みんなが雅喜を手伝ったり、席に着いたりする中、雪乃が真湖の側に寄ってきた。

 身を屈めて、真湖の腕の中の海を見る。

「可愛いですねー。
 お名前決まりました?」
と言う雪乃に、

 そうだなー。
 やっとちょっと可愛くなってきたなー、と思っていた。

 猿っぽかったのが、ふっくらしてきて、人間の赤ちゃんらしくなってきたのだ。

「あ、決まりましたよ」
と真湖は言った。

「海って書いて、カイって読むんです」
と真湖が笑うと、

「なんで、そのお名前になさったんですか?」
と真っ黒な大きな瞳を上げて、雪乃は訊いてくる。

「ああ、二人で最初に旅行――」
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