課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 ……そんな馬鹿な。

「宣言してみただけですよ……」
と言いながら、もう一度、海とともに、横に座った。

 正面にある窓から、ちらつく雪が見えたので、なんとなく、雪乃を思い出し、笑って言った。

「羽村さん、ちゃんと雪乃さん、送っていきましたかねー?」

「送ってっただろ。
 ああ見えて、きちんとしてるからな」

 またスマホを見ながらの素っ気ない口調ではあったが、なんとなく羽村に対する信頼とか友情とかが、ほの見えて、ちょっと笑ってしまった。

「羽村さん、微妙に三上さんの視界に雪乃さんが入らないようにしてましたよね」

 座る位置を変えてみたり、雪乃の立ち位置を変えさせてみたり、三上を餌で釣ってみたり。

「羽村が本気になったとしても、三上に本気になってることを悟らせないようにすれば、上手く結婚までたどり着くんじゃないか?」
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