課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
 羽村は、少し立ち位置を変え、彼女を真湖に見せるようにした。

「えーと……彼女が、……彼女が?」
と羽村は彼女の顔を見る。

 まさか、名前を知らないとか? と思って見ていると、

「藤田雪乃です」
と彼女は自ら名乗り、頭を下げた。

 ホッとしたような顔をしながら、羽村が、
「ああ、そんな名前だったんだ」
と言う。

 どんなカップルだ……。

「どうぞ、お上がりください」
と真湖は二人に上がるように勧める。

 雅喜がお茶の支度をしてくれていた。

「あ、課長、ありがと……」

 ございます、と言おうとしたとき、雪乃が、
「わあ、すごい」
と声を上げた。

「私、これ、見たことありますっ」
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