夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫

探し求めるもの

ほんわかと温かい何かが身を包み、夢現の中で誰かが話しかけてくる…

……私は初めから、ラミンのことが好きだったのかもしれない。優しい笑顔も意地悪な顔も心配そうな眼差しも…その綺麗なブルーグリーンの瞳に見つめられる度に胸が高まって恋を知らなかった私の心はラミンで一杯になった……

憎いあいつの声だ…
なのに…なんだこの気持ちは……
胸の奥から湧き出るような熱い…何か…

……でも、アマンダさんが現れたときは辛かったな。私では太刀打ちできない綺麗な人だった……

アマンダ?
何でこいつがアマンダを知っている…?

……今はラミンの事を忘れてしまったそうだけど、ラミンは忘れられて辛くなかった?私はラミンに忘れられて辛かったわ…。こんなに…辛いなんて……

あれは仕方なかった…
忘れられても生きてくれているだけで良かった…
でも、なぜアマンダは俺を忘れることになった?

そういえばアマンダと旅をしていた…?
なぜ?
もう一人誰かが居たような気がする…
俺は忘れてはいけない何かを忘れている…?
それは…こいつ…?

……この傷、ごめんね…痛かったよね…。その後も眠りから覚めない私のせいで辛い日々を過ごしてきたんだよね…それも忘れてるならその方がいいのかも……

頬に温かいものが落ち下へと流れ落ちていく感覚。
いつの間にか出来ていた胸の傷を言っているのか?
震える声が胸を締め付け、お前のせいじゃないと心が叫んでいた……

……目覚めた時に初めて名前で呼んで愛してるって言われて本当に嬉しかった。男が泣くなんて情けないなんて言ってたけどラミンの涙はとても綺麗で温かくて、ずっと待っていてくれたんだって、この人の為に生きていこうって思ったの……

俺が本当に…こいつを愛していたというのか?
誰かを愛しく思うなんて今までなかった俺が…

罪悪感と焦がれる想いが胸を疼かせていた…
待っていた…何かを…
やっと取り戻したときに安堵で流れた熱い涙を俺は…覚えている……?

……私たちの出会いも、愛し合った記憶もラミンが忘れてしまっても私は覚えている。例え呪いが消えなくても私はラミンを愛し続けるわ……

凛々しく言い切ったミレイアに心が揺れる。
知らないはずなのに気付けば憎み嫌っていたこいつをもっと知りたいと思った……



……あのメリダヌスの丘で見た希望の光をもう一度ラミンと見たいわ……

思い出深いあの光景を何でこいつが知っている?

誰かと見たあの朝日。
腕の中でうずくまる小さな存在を愛しく思い守らなければと強く誓った……あの光景。

…………


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