夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
……


「オパールのブローチ!…」

声を上げたのはガゼントだった。

「知っているのですか?ガゼント様」

「…グラージャが好んで身に着けていたブローチがオパールのブローチだった…」

難しい顔をするガゼントはかつての主グラージャを思い起こす。
襟元にいつも着けていたオパールのブローチ。
「この色はヴァルミラの髪色によく似ていると思わないか?」
嬉しそうに笑うグラージャ。

ヴァルミラとクリスリードに倒され無念の思いをこのブローチに託し隠していたのだろうか…?

「自分の思念をブローチに封じ込め復活の機会を窺っていた…グラージャならやりかねん」


眉間に皺を寄せるガゼントの言葉に皆考え込んでしまう。
沈黙を破ったのはラミンだった。

「そのブローチは今どこに?」

「それは、分からん。未だ捜索中じゃ。グラージャはまだ完全復活はしてないじゃろう。誰かにとりついているのは確かじゃろうて…」

「兄上、珍しいですね?気になりますか?」

グラージャ捜索にまったく関心を持たなかったラミンに驚きエルストンが不思議そうに見る。

「…俺の呪いを解くためにもそいつを見つけ出さなきゃならないだろう?このままやられっぱなしは性に合わないしな」

「ほほ~~~う」

ガゼントとモリスデンの視線に気付いてなんだか居心地悪いラミンはそっぽを向く。
いい傾向だとモリスデンは頷いた。

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