夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
「では、早速作戦会議といこうかの。まずは敵が誰なのか突き止めねば」

「えっ!知ってるんじゃないの!?」

セイラスの素っ頓狂な声にギクリとした顔をするモリスデンは額に手を当てながら申し訳なさそうに言い訳をする。

「ヴァルミラ様が…敵のことはおろか、協力してくれる奴の事も口が裂けても言いたくないと…奴の事を考えるだけでも忌々しいからそれも探して奴から聞くがいい…と言うのじゃ…」

「ええ~~~~!!!!」

無茶振り過ぎるヴァルミラに皆の悲鳴がこだまずる…。

「ヴァルミラ様はよっぽど2000年前の事を口にするのは嫌らしい。それだけその戦いは壮絶だったという訳だ」

息を呑む面々。
2000年前の戦いなど想像もできない。


「人間に扮した魔物を探せば全てわかるじゃろう」

「ちょっとくらいヒントとか無いの?」

セイラスの問いにお手上げポーズをするモリスデン。
何もわからない様子に一様にため息を付く。

「まあ、その魔物を探しつつ俺たちの仲間になる奴も探した方がいいな」

ラミンが気を取り直し言った言葉に皆頷いた。



作戦会議では、
国王、セイラス、トニアス、ドリスター公爵は他の国と連携を持ち、何か異変がないか情報を集めることになった。
アルトバル国王同様魔法に掛けられている者が居るかも知れない。
それと怪しい人物がいないか、手がかりとなるものがないか探す事にした。

モリスデン、ラミン、ミレイア、エルストン、キースは仲間の捜索。
キースのいるシエラ王国はアドラードの子孫を多く受け入れている国だから直ぐに見つける事が出来るだろう。
問題は人間に扮した魔物の捜索。
相手は人間にバレないようこの世界に溶け込んでいて決して正体を現さない。

「困難を極めるだろうが手をこまねいてる場合ではない。今も奴はどこかに潜み虎視眈々と復活する手筈を整えてるはずじゃ」

話し合いを終えた皆は明日から行動開始という事で決起集会とばかりに晩餐を共にし、それぞれ帰って行った。

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