夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
……


うっ…うっ…


「ミレイア…」

思ってもみなかった両親の苦難にとうとう泣き出してしまったミレイアに困ったアルトバル国王はミレイアの頭を撫で涙目のサリア王妃の手を繋いだ。

「長い時間はかかったがハインツ夫妻の支えとサリアの愛で苦難に立ち向かうことができた。あの日々があったから今こうして子供達に囲まれ幸せな人生を送れている」

「ええそうね、私もアルトバルの愛があったから耐えることができました。ミレイアもお父様の反対にあってもラミンの愛で耐えることができたでしょう?」

「サリア…」

その話は持ち出さないでくれとでも言いたげなアルトバルにサリアはクスクスと笑った。

「お父様とお母様の娘に生まれて良かった。私も幸せです…」

嗚咽を漏らしながら言ったミレイアの言葉に国王と王妃は目を合わせ微笑み合い二人でミレイアを抱き締めた。




泣き疲れ眠ってしまったミレイアを見つめため息が出る国王はミレイアが眠り続けていた頃を思い出し胸が苦しくなる。

「ミレイアが生きて帰ってきただけでもどんなに嬉しかったか。やっと目覚め幸せを取り戻したと言うのに…。今回の思わぬ敵が出たことでまたミレイアに重荷を背負わせてしまった…ミレイアもこの幸せも守ってやりたい」

重くのし掛かる敵の存在。
か弱いミレイアが矢面に立たされなければいけない状況に国王は悔しさが滲み出る。
そんな国王の手を握り王妃は言った。

「私も同じ気持ちです。この幸せもミレイアも守りたい。私ができるきることなら何でもします」

非力ながらも決意に満ちた表情の王妃に頼もしさも感じながら国王も決意を新たに頷く。

「ミレイア…前回は何も出来ずにただ見ている事しかできなかったが…今回は微力ながらもお前達の役に立てると思うと嬉しいのだ。全力で支える。何があってもお前達を守るよ」

強い眼差しを向ける国王に王妃も見惚れミレイアを挟み抱き合った。


世界を守る為に何が出きるか考えた国王は一つの結論を導いた。
敵に打ち勝つためには魔物達の力だけでなく我々人間の信頼と支え合う心が最大の武器となろう。

この世界に生きるものとしてこれが最後の試練であって欲しいと願う。
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