夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
「では、行ってきます」
国王の親書を持ったセイラスとトニアスはメルリとトットを伴いペガサスに乗って飛んで行った。
それを見送ったモリスデンは残った面々の顔を見回す。
「よし、わし、ラミン、ミレイア、エルストンは仲間の捜索じゃ。まずはシエラ王国に行くぞ。キースが待っているはずじゃ」
「エルストン、大丈夫か?お前は無理していかなくてもいいんだぞ?」
「大丈夫ですよ兄上。頼りないかもしれないけど僕でも役に立てることがあるなら行きたい。それに…」
エルストンの体を気遣いラミンが残るように言ったがエルストンはついて行くと言い張り、思わせぶりにミレイアに流し目を送りミレイアはドキリとする。
そんなエルストンとミレイアを交互に見やり怪訝な顔をするラミンにニコリと笑いかけた。
「僕はもう病気を克服したんです。もう病人扱いするのは止めてください」
セイラスの結婚式の日、ミレイアと手を繋いでからエルストンは毎日飲んでた薬もいらないほど体調がよくなって医者も首を捻るほど健康体になった。
あれはきっとミレイアのお蔭だろう。
それを本人に聞いても言ってはくれなそうなのでエルストンは心の中でミレイアに感謝してる。
「わかった。でも何かあればすぐに言うんだぞ?」
渋々認めてくれた心配してくれる優しい兄に頷いて初めての冒険へと行けることにワクワクが止まらないエルストンだった。
「ミレイア、気を付けて」
「はい、リノンお姉さま。ノニ、留守を頼みます」
頷き合ったミレイアとリノン。
ノニはここに留まり国王たちの伝達係となる。
国王王妃、ドリスター公爵が見守る中、4人は一瞬のうちに消えてしまった。
「よし、残った私たちも少しでも皆の力になりようにやるべきことをやろう」
残った4人もそれぞれの役割を果たすべく頷き合った。