夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫

そんなある日

青い顔をして政務に勤しんでいたラミンにノアローズに付いてきたルシアンがちょっかいを出す。

「おいおい、青い顔して大丈夫かぁ?あんなに綺麗な婚約者差し置いて、毎晩お楽しみみたいだがやりすぎじゃね?」

「…うるせえ、お前には関係ねえだろ。ここは他国の人間が来るとこじゃねえ、国に帰れ」

唸るように言ったラミンは本当に体調が優れずずっと原因不明の頭痛に蝕まれたまま。
ミレイアの事を話されると尚頭痛が酷くなる。

出ていく気のないルシアンを置いてふらふらと政務室を出たラミンは頭を押さえ壁に手を着いた。

「何なんだよ一体……」

シエラ王国の一件から自分の体は自分じゃないような重苦しさと頭痛に襲われ、ミレイアの名を聞いただけで沸々と言い様のない憎しみが込み上げる。
あんな小娘知らねえのに…。
そう思いながらも悲痛な表情のミレイアを思い出し何かが引っ掛かるのを感じながらまた頭痛に襲われる。その繰り返しにラミンは辟易していた。

周りの人間の何とも言えない表情にもイライラが募る。
言いたいことがあれば言やあいいだろ!
国王に一度どやされてから、国王も静観の構えでミレイアと一緒にいるときに遭遇したらそら恐ろしい形相で国王がラミンを睨むが何も言わない。

何もかもグラージャとかいう奴に呪いを掛けられたからだと言うモリスデンに言われた言葉

「お主はただミレイアを受け入れろ」

「そんなことできるわけねえだろ!」

あいつを見れば憎しみが込み上げるのに受け入れるってなんだ!?
あいつだって……

そこまで考えて強くなる頭痛に思考もストップしてしまったラミンは息も荒く壁に背を預け何とか頭痛が収まるのを待った。

「…ラミン?」

キリキリと痛む頭痛の中、声を掛けられ目線だけをやると考えたくもないのに勝手に思い浮かばれる顔が心配そうにこちらに近付いてきた。

< 79 / 169 >

この作品をシェア

pagetop