白銀のカルマ
今年のクリスマスは深夜2:00から明け方にかけて雪が降った。

世間が幻想的なホワイトクリスマスに酔いしれ余韻に浸る中、奥野家に一本の電話が入る。

母は今日も仕事だっけか。

おそらく自分が取らないとこの電話音は鳴り止まないと確信した優一は、人形のように重い体を無理矢理起こすと
一階にある固定電話に触れた。

『……もしもし?稲倉です』

「……先生……」

電話の主は先生だった。…4か月ぶりだろうか?

いや、そんなことは今どうでも良い。やけに声のトーンが低かった。

何があったのか聞き返しても、なかなか返答がこない。

いつも早口で多弁な先生が黙り込むとはこれはかなり重大なニュースだと察した優一はいつになく身構えた。

『………あのね優一くん。落ち着いて聞いて。正臣が死んだの』

その言葉を聞いた途端、僕は受話器を落とした。

ぼんやりとした先生の声がどんどん薄れていく。

正臣さんが……死んだ??

この時は、まだ悪い冗談だと思っていた。

………どうか嘘だと言って欲しい。

現実を直視する勇気なんてなかったものの、どうしてもこの〝目″で確かめたかった。

母に無断で外に出るのは正直心が咎めたが、それでも僕は家を脱走して先生の家に向かった。

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