白銀のカルマ
雪降る季節に母も大切な人を亡くした。

自分の場合は正臣さん。

母の場合は自分の肉親。

僕は、肩を震わせて泣きじゃくる母の背中をさする。

自分はほとんど記憶にないのだが、体を壊した母に代わって幼い僕の面倒を見てくれたこともあったらしい。

母曰く、親子関係はあまりよろしいものではなかったが、まだ手のかかる僕のこととなると嫌な顔せず引き受けてくれたと言う。

「…………ひっく、ひっく、ひっく………」

式の間、母のすすり泣く声は会場全体に響き渡っていた。
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