あたしを知らないキミへ
アンタの首につけているネックレスと左耳についているリングピアスが眩しいくらいに光った。

あたしは、その場から動くことが出来なかった。
まるで金縛りにあったみたいだった。

まだ保育園くらいの子だろう。
男の子が楽しそうにスーパーボールを必死に取ろうとしていた。
でも取ることが出来なかったのか、その男の子は泣き出してしまった。
アンタは少しだけ困った表情を見せたけど、すぐに優しく微笑んで男の子の頭を撫でたんだ。

男の子と向かい合わせで座っていたアンタが、男の子の隣に来て一緒にスーパーボールを取ってあげようとしていた。
さっきまで泣いていたのが嘘だったみたいに、男の子は嬉しそうにアンタと笑っていた。

そして、またアンタは男の子の頭を優しく撫でたんだ。
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