あたしを知らないキミへ

「あーーー、もうダメだぁー。疲れたよー」
駅まで後少しって所で、朋美は道端で腰を下ろして駄々をこねている。
「ほら、後少しだって」
「もう髪の毛崩れちゃってるしー」
「そんなの後で整えればいいから」

あたしは、半ば強引に朋美の手を引いて、駅まで走った。


カンカンカンカン・・

あたし達がちょうど駅に着いたのと同時に、赤いランプが点滅して踏切が下がった。

「はぁ・・よかった。間に合って・・」
「うん・・間に合ったね・・」
朋美は息を整えながら、鏡を取り出して乱れた自分の髪の毛を整え出した。

「ほら、朋美・・電車来たけど。早く乗んないと」
「あ、そっか。ごめんごめん」
そして、あたし達は電車に乗り込んだ。