あたしを知らないキミへ
10 「忘れちゃいなよ」
夏休みが明けてから、1週間が経った。
相変わらず外は真夏で、外に出た瞬間、尋常じゃないくらいの汗が出てくる。

そんな中あたしは、久しぶりに朋美やクラスの皆とお喋りをしていた。
少しだけ薄暗くなった放課後の教室は、不思議と嫌いじゃなくて、むしろドキドキする。

4つの机を合わせて、6人で座って皆とお喋り。
そんな時間もすごく楽しくて、気づけば話をしてから1時間が経とうとしていた。

1つの話がひと段落着いた時、クラスの1人(鈴華 すずか)が、
「あー彼氏ほしいー」
そんなことを言った。

それに続いて他の皆も口を揃えて同じことを言った。
やっぱりこのくらいの年にもなれば彼氏は皆ほしいに決まってる。

「朋美が羨ましいよー」
あたしの隣にいた(安奈 あんな)が、そう言った。

だけど、そんな問いかけに朋美は困ったように眉を下げた。
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