あたしを知らないキミへ
「朋美には分かんねーよ。あたしだってこんな選択はしたくなかった。だけど、どうすればアイツを忘れられんの?叶わない恋ずっと追いかけて、だけど最後はいつも泣いて苦しんで。今だって何も変わらない、アイツの気持ち。初めて会った時から何も変わってない。朋美が言うように、賢斗を利用したの。そうすればいつか付き合っていくうちに賢斗のこと好きになるかもしれないって思った。これからだそ、そんなのまだ分かんないじゃん。なのに、これがダメって言うんならあたし・・どうすればいいんだよ。朋美には分からない、あたしの気持ち。だって付き合ってる彼氏がいるもんな。何も分かんないくせに、こんな気持ち味わったこともないくせに色々言われたくない」

あたしは、もう自分を見失っていた。
朋美にどんな酷いことを言ったのか、忘れてしまうほどに・・。


「恵美加・・」
朋美は、あたしのそんな言葉に朋美の目から一粒の雫が頬を伝った。
切なそうに、そして苦しそうに顔を歪ませて朋美は下を向いた。

そんな朋美を前にして、あたしは自分の鞄を持って教室を飛び出した。

ただ、あたしの目からは大粒の涙が伝っていた。
何度も強く涙を払っても、それは止まることを知らずに溢れ出してくる。
それを振り払うかのように、あたしはひたすら走り続けた。
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