あたしを知らないキミへ

それからしばらく、あたしは学校に行っても朋美とは口を利かなかった。
それでも朋美は、たまにあたしに「おはよう」そう言ってくれたけど、あたしは素直になれずに、そんな言葉さえ返してあげることが出来なかった。

クラスの皆もあたし達の様子に驚いた表情を見せていたけど、詳しいことは聞いてこなかった。
それが、今のあたしにとって少しだけ救われていた。


相変わらずあたしは、賢斗と付き合っていた。
前と何も変わらない。
賢斗と電話した夜には、
「好きだよ!おやすみ!」
そう言って賢斗は電話を切るんだ。

休日でお互い時間が合えば、2人で映画を見に行ったりもした。

賢斗と手を繋いだ。
キスをした。

だけど、そういったことは、いつも賢斗からだった。
自分からは何もしない。
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