あたしを知らないキミへ
「うわぁ~!いい天気だね!眩しいくらいだよ」
そう言って朋美は、手で顔を少し覆いながら目を細めた。

「朋美とこうやって話すの久しぶりだな。朋美・・今までほんとごめん」
そしてあたしは朋美に頭を下げた。

「ちょ、恵美加!あたし怒ってないよ?!あたしもちょっと言い過ぎた部分もあったから。でも、恵美加とまたこうやって話せて、すっごく嬉しい!」

そう言って朋美は、あたしに抱きついてきた。

「朋美の言った通りだった。あたしが出した答えは、ただ人を傷つけるだけだった。実際あたしは賢斗を傷つけた。やっぱり、どうしてもアイツのことが頭から離れられなくてさ。だからあたし・・賢斗と別れたんだ」

「そっか・・。あたしもごめんね。ちゃんと話聞いてあげることができなくて」
「朋美は何も悪くないよ。あたしが子供すぎたんだよ」

そしてあたしは、空を見上げた。

賢斗は今、どこかで笑っているだろうか。
あたしが賢斗を傷つけてしまったことは、事実でそれは変えたくても変えられない事実。

だから、過去に戻れない分、また同じことを繰り返さないように、あたしはせめてもの賢斗の幸せを心から願うんだ。
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