あなたの願い、叶えましょう。 ー ただしその代償は・・・ ー
それからあたしは、毎日の咲也との時間を楽しんでいた。
朝一緒に登校して、一緒にお昼を食べて、一緒に帰って、休みの日は遊びに行って。
ずっと咲也と一緒。
夢だった咲也との時間。
羨ましそうなみんなの視線。
もちろん、嫉妬の目もあったけど……。
あたしは生きてきた中で、一番の幸せを感じていた。
でも、ある日から、咲也に変化が現れはじめた。
「ねぇ夏美。さっき同じクラスの男子と話してたよね?何話してたの?」
一緒にお昼ご飯を食べている時に、咲也があたしに尋ねる。
さっきの授業が始まる直前に、先生に言われていた課題を同じクラスの坂井くんに聞かれてそれに応じていたところを、咲也が見ていたらしい。
「あ、坂井くん?なんか課題やってくるの忘れてたみたいで、範囲聞かれたの。授業始まる直前に聞いても、間に合わないのにねー」
あはは、と笑いながらそう話すと、咲也の表情がふっと変わるのがわかった。
「夏美、俺のこと、好きなんだよね?」
「え?うん!好きだよ!」
「だったら、もう他の男と話さないで」
「……え?」
「俺のことが好きなら、俺のこと、一番に考えてくれるよね?俺、夏美が他の男と話してるの見てると嫌なんだ。だから、もう話さないで。ね?」
……咲也?
話さないでって言われても……何か聞かれた時無視するわけにもいかないし。
「で、でも、あたしから話さなくても、相手から話しかけてきた時はどうするの?」
「無視すればいいじゃん」
「む、無視って……さすがにそれは……」
「俺のこと、好きじゃないの?」
「…………好き…………だけど…………」
「だったら、俺のお願い、聞いてくれるよね」
「…………わかっ、た…………」
他の男と話すな……か。
ちょっと難しい気はするけど……それくらい、咲也があたしのこと好きだって思ってくれてる証拠だよね。
だったらあたしも、咲也の気持ちに答えなくちゃ。