幼な妻だって一生懸命なんです!
「美波…」
名前を呼ぶ長瀬さんが、湯飲みを右手で端に寄せ、真っ直ぐに私を見る。
さっきまでの柔らかい笑顔は消え、真剣な眼差しを向けられた。
私も姿勢を正し、「はい」と返事をする。
彼は一度、目を見開きすぐに細め、小さく息を吐くと
「結婚を前提に、きちんと付き合わないか」
この言葉が今の私に、すんなりと受け入れられた。
そして、心から嬉しい言葉だった。
私もきちんと長瀬さんと向き合い、将来のことを考えていきたい。
「はい、よろしくお願いします」
この言葉が、自然と口から出ていた。
長瀬さんは眉をクイっと上げ、すぐに右手で顔半分を覆った。
「あの…」
私の返事はおかしかったのだろうか?
「どうかしましたか?」
「いや、まずいな。…想像した以上に嬉しい」
長瀬さんが笑った。
いつもの笑顔なのに、恋人になった彼の極上の笑顔だった。