幼な妻だって一生懸命なんです!
「私と要さんが交際期間の短いまま結婚したのは、要さんが由香さんを忘れるために代わりが欲しかったって…」
由香さんに言われたまま伝えただけなのに、涙が滲んで来る。
「はぁ?それは無い…!あり得ない」
菜々子さんが興奮気味に声を荒げる。
涙が溢れ落ちないように、そっと上を向くと、ベッドの縁に腰を下ろしていた菜々子さんが私と距離を縮め、そっと抱き寄せてくれた。
「鵜呑みにしちゃダメだよ。由香が何をしたいのか今はまったくわらかないから、そんな一方的なことを鵜呑みにして泣いたりしないの」
泣いたりしないのという菜々子さんの言葉が響いて、逆に後から後から涙がこぼれて来て止まらなくなる。
その間、菜々子さんの暖かい手のひらは、私の背中をそっと擦ってくれていた。
しばらくすると落ち着きを取り戻し、自然に涙は止まった。
「長瀬が迎えに来るまで眠ってなさい」
そう言って、菜々子さんは職場へ戻って行った。
泣いた分、少しだけ気分は軽くなっていた。
ただ…
『ねぇ…この間、連れて来た息子。要に似てない?』
この言葉はあまりにも衝撃的で菜々子さんにも言えなかった。
どうしても悪い方へと考えてしまう。
いや、まだそうと決まったことじゃない。
ちゃんと聞かなきゃ、要さんに。