クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 彼女が入社してから社内の雰囲気がよくなった。

 乱雑になりがちな書類や棚がいつもきちんと整理され、清掃の業者が気付かないような細かなところまで綺麗に保たれている。
 しかも気遣いだけではなく、頼んだ仕事もしっかりこなす真面目さと能力を持っていた。
   

 彼女は自分をコネ入社だと引け目を感じているようだけれど、今ではこの会社になくてはならない社員のひとりだと思う。

 そんなことを考えていると、棚の整理を終えた彼女が顔を上げた。

「あ、部長おはようございます」

 俺に気付いたとたん、遙の表情がぱぁっと明るくなる。
 春の日差しのような温かく無垢な笑顔。可愛すぎて、直視できない。

 俺は額に手を当て顔をそらしながら「おはよう」と短く返事をする。

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