クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「宮下、先週頼んでいた信用調書だけど……」

 動揺を隠してそう言うと、彼女は「はい」とうなずき自分のデスクからファイルを取り出した。

「ご用意できています。ただ、この会社は海外事業に急速に力を入れているようなので、既存の与信管理規程よりも慎重に判断したほうがいいかもしれません」

 頼んでいた書類だけでなく、ほかの情報まで収集してくれたようだ。
 みやすくまとめられたファイルを受け取り感嘆の息をつく。

 視線を書類から視線を上げて「いつもありがとう」とお礼を言うと、白い頬が真っ赤になった。

「いえ! とんでもないですっ!」

 遙が首を横に振るとサラサラの髪が肩の上で揺れた。
          
< 117 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop