クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 それを見た俺は欲望と理性の間で葛藤する。

 あの小さな頭をこの手のひらで思う存分なでまわしたい。
 でもここは職場なんだから、我慢するんだ。
       
 そうやって人しれず煩悩と戦っていると、遙が小さな声で言った。

「……南部長のお役にたてて、うれしいです」

 俺が視線を上げると、遙は照れくさそうに笑いすぐに踵を返した。
 小さな花のような可憐な笑顔が網膜に焼き付いて、俺はひとり頭を抱える。
  
 あー、もう本当に。
 可愛すぎてつらい。

 心の中でつぶやいて奥歯をかみしめていると、フロアに久住常務が入ってきた。

 社長と同い年の彼はもともと友人だったらしい。
 入社当時から社長の片腕として働き、実力が認められて常務になった。
 副社長である真一と俺の関係に少し似ている。
            
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