クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「聞いたよ、社長から。南くんが遙ちゃんと結婚させてくれって頭を下げたって。社長は『大切な娘を簡単にやれるか』って激高していたけど、私はふたりを応援するよ」
思わぬ応援に「ありがとうございます」と頭を下げると、常務は「それで……」と意味ありげな表情で続けた。
「あの件を遙ちゃんから社長にお願いしてもらえると助かるんだけどな。社長は過保護だから、遙ちゃんがこちら側についてくれればかなり有利に進むんじゃないかな」
「あの件、ってなんですか……?」
きょとんとする遙に、俺は慌てて首を横に振る。
「いや、なんでもない。宮下には関係のないことだから、気にしなくていい」
必死にごまかしたけれど遙は腑に落ちない表情のままだった。
「常務、こちらの事情に宮下を巻き込んで裏で手を回すような真似はやめてください」
声を低くして常務に訴えると、彼はまったく悪びれる様子もなく「わかったわかった」と笑っていた。