クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「社長派と常務派に分かれて派閥争いをしているらしいよ」
「うちの父と久住常務がですか?」
久住常務は父の右腕としてともに会社を支え、昔からの友人でもある。
私が物心ついたころから家族ぐるみのお付き合いをしていて、まるで親戚のおじさんのようにいつも優しく接してくれていた。
そんなふたりが争っているなんて。
新谷さんは「これはここだけの話にしてね」と前置きをしてから話し出す。
「俺、情報通だから小耳にはさんだんだけど、社長と専務の保守派に、常務を代表とする革新をのぞむ一派が反旗をひるがえしているんだって。ちなみに、将来は役員入り間違いないだろうって言われている南部長は常務派」
それを聞いて思い出す。
数日前に常務が部長をたずねてきた。
そのときの会話が脳裏によみがえり、私はごくりと息をのむ。