クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「そういえば具体的な要件はわからないんですけど、常務に私から社長になにかお願いしてもらえると助かるって言われたことがありました。私がこちら側についてくれればかなり有利に進むんじゃないかと……」
そのとき部長はかなり慌てた様子で『宮下には関係ない話だ』とごまかしていた。
私にその話を聞かれたくなかったんだろう。
「社長の愛娘である宮下さんを常務派に取り込めれば、有利になると思ったんだろうね」
新谷さんはむずかしい顔でそうつぶやく。
「じゃあ、もしかして。部長が突然私と結婚したいと言い出したのも、それが理由……?」
今まで胸につかえていた疑問の答えがようやく見えた。
私が部長と結婚すれば過保護な父と兄は態度を軟化する可能性が高い。
もし常務派が派閥争いに敗れたとしても、私が妻なら部長は最低限のポジションは確保できる。
そういうことかと納得すると同時に、ものすごいやるせなさが胸にこみあげてきた。
右手の薬指にはめられたリングを見下ろし唇をかむ。