クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「最近遙はいつも恵介くんの家に行っていたから、一緒に料理をするのは久しぶりね」

 母は嬉しそうに言いながら、持っていた包丁を私に手渡した。
 うなずいて受け取り野菜を切っていると、母はしみじみとした口調でつぶやいた。

「遙が結婚してお嫁に行ったら、こうやって一緒にキッチンに立つこともなくなるのね」

「そういえば、お母さんは突然私が結婚するって言い出したのに、どうして驚かなかったの?」

 急展開の結婚に激しく動揺した父と兄とは対照的に、母は最初からすべてを受け入れてくれた。
 そう思いながらたずねると、母は笑って肩をすくめた。

「あら、あれでも驚いていたのよ。そのせいでお赤飯を炊きすぎて、食べきれなくてご近所に配ったんだから」

 そういえば、お母さんは大量のお赤飯を炊いていたっけ。
 結局食べきれなかったんだと知って苦笑する。

          
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