クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

 母方の祖父は私が幼いころに亡くなっていて、何度か行った実家はものすごく立派な日本家屋だったのを覚えている。

 でも龍鳳組って、それって名前からしてこわい団体なのでは……。


「まぁ親分といっても義理人情にあふれて、市民のために秩序をまもるような人だったから。今でも親分を慕う若い衆がこのあたりにはいっぱいいるんだ」

 父のその言葉に、桑井さんたちを縛り上げていたスーツの男たちが恭しく頭を下げる。

「あなたたち、この男たちを警察に突き出してきてちょうだい。余罪がボロボロ出てきそうだからね」

 綺麗な唇を引き上げ微笑む母に、スーツの男の人たちが「はい!」と返事をした。

 そのやりとりだけで、彼らが母に敬意を払っているのがわかる。
 きっと祖父はすごい人だったんだろう。

「おじいちゃんが、そんな人だったなんて知らなかった……」

 呆然としながらつぶやくと、母は肩をすくめてみせる。
                   
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