クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

 いつも女性社員から熱い視線を注がれているのに、南部長はとことん硬派だ。
『かっこいい』『すてき』という言葉を聞いても頬をゆるめたりしないし、告白してくる女性社員たちは全てにべもなくお断りしているという。

 すっかり見目麗しいけれど触れることすらかなわない高嶺の花扱いで、『南部長と目が合ったら願いが叶う』なんて都市伝説めいた噂が流れるほどだ。

 そんな人に想いを寄せる愛経験ゼロの私は、仕事の話をするときにちらりと一瞥されるだけで足がふるえるくらいドキドキしてしまう。


 上司と部下になれば、大学生と中学生よりは近づけると思っていたのにものすごく甘かった。

 南部長は手の届かない、雲の上の存在だ。
 世間知らずの箱入り娘の私が相手にされるわけがない。


 そう思って入社してから二年間、ずっと想いを秘めてきたのに……。



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