クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「ちゃんとというか、断片的にですけど。キスをしたのは覚えてます」

 部長とのキス、気持ちよかったな……。
 頬を熱くしながら生まれて初めてしたキスを思い浮かべる。



 少し乾燥した唇が触れて離れるだけで、胸の奥がくすぐったくて背伸びをした足が震えた。
 唇の隙間から差し込まれた舌で上あごをなぞられると、首の後ろがぞくぞくして体の奥が熱くなった。
 大人のキスがこんなに濃密でエッチだなんて、知らなかった。


 生まれてはじめてのキスに驚いて私が身を引こうとすると、大きな手で後頭部を包まれた。
 うっすらと目を開くと、部長が意地悪く笑っていた。

『――お前があおったんだから、逃げるなよ』

 吐息だけで囁くように言った部長が色っぽすぎて、一気に頭に血が上った……。


 けれど、そこから記憶が曖昧だ。


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